2020年7月:【自然の脅威に備える その①】
みなさまこんにちは渡邉です。
熊本県南部に豪雨をもたらした梅雨前線は6日、九州を北上し、各地で川の氾濫や浸水を引き起こしました。気象庁は、5段階の警戒レベルのうち最も高い大雨特別警報を福岡、佐賀、長崎3県に出したほか、九州の7県全てに一時、避難指示がだされました。熊本県では死者49人を数え、まだまだ不安な日が続いています。
静岡県でも連日激しい雨が降り続いています。ここ富士市でも一部の地域で土砂災害避難勧告が発令されました。まだまだコロナで厳しい時期なのになんとも切ない気持ちです。今月号の『ひげ日記』は、決して他人事ではない風水害について考えてみたいと思います。
風水害には、台風や強風などによって引き起こされる豪雨や河川の氾濫、洪水、強風による被害、土砂災害などがあります。情報収集はもちろん気象情報により想定される災害を予測し、早めの避難行動をとることが重要です。
■集中豪雨とは
限られた地域に集中的に短時間に多量の雨が降ることをいい、梅雨の終わり頃から秋にかけて良く起こります。狭い地域で突発的に降るため予報は比較的困難で、河川の氾濫や土砂崩れ、がけ崩れなどによる被害が予想されます。気象情報に注意し万全の対策をとりましょう。
今回の大雨の原因として『線状降水帯』という言葉を耳にした方も多いと思います。線状降水帯とは「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50〜300 km程度、幅20〜50 km程度の強い降水をともなう雨域」です。防災上の課題は、正確な発生予測が困難なことです。線状降水帯は発生のメカニズムが解明しきれていないため危険性の高い場所を広域で示すことは可能ですが、現状ではピンポイントの予測はできないそうです。
■雨量と災害発生状況
・10mmから20mm未満(1時間の雨量 以下同じ)は予報用語では『やや強い雨』と言われ、長く続くときは注意が必要です。
・20mm以上30mm未満は『強い雨』と言われ、側溝や下水、小さな川が溢れ、小規模の崖崩れが始まります。
・30mm以上50mm未満は『激しい雨』で、山崩れ・がけ崩れが起きやすくなり危険地帯では避難の準備が必要。都市部では下水管から雨水があるれる。
・50mm以上80mm未満は『非常に激しい雨』で、都市部では地下室や地下街に雨水が流れ込む場合がある。マンホールから水が噴出する。土石流が起こりやすい。多くの災害が発生する。
・80mm以上は、『強烈な雨』で、雨による大規模な災害の発生する恐れが強く、厳重な警戒が必要となります。
■5段階の警戒レベル
「避難勧告等に関するガイドライン」(内閣府(防災担当))が平成31年3月に改定され、住民は「自らの命は自らが守る」意識を持ち、自らの判断で避難行動をとるとの方針が示されました。この方針に沿って自治体や気象庁等から発表される防災情報を用いて住民がとるべき行動を直感的に理解しやすくなるよう、5段階の警戒レベルを明記して防災情報が提供されることとなりました。
・警戒レベル1 災害への心構えを高める必要がある
・警戒レベル2 災害想定区域や避難場所を確かめる
・警戒レベル3 自治体が避難準備を発令する目安。高齢者等は避難開始。
・警戒レベル4 自治体が避難勧告を発令する目安。全員避難レベル。
・警戒レベル5 災害が既に発生している可能性が極めて高い。命を守るための行動が必要。今回出された大雨特別警報はこのレベル5。
■まとめ
雨が降り出し大雨の恐れがあると注意報→警報が発令されます。『警報』の発表基準をはるかに超える数十年に一度の大雨となる恐れが大きく、降水量が警報基準を大きく超えるような大雨では『特別警報』が発令されます。これは地域住民に最大限の警戒を呼び掛けるものです。
この『特別警報』という言葉を聞いたら、すぐに行動する必要があります。今回の堤防の決壊映像はとても恐ろしいものでした。大雨になると身動きが取れなくなってしまうため、できるだけ早めの行動を心掛けましょう。
そのためにはテレビのニュース、市町村の広報、防災無線の情報はもちろん、自治体のメール配信サービスへの登録、スマホに『Yahoo!防災速報』などのアプリをインストールしておくなどの対策も必要だと思います。また、『エリアメール、緊急速報メール』は事前登録不要で、その地域にあるスマートフォンや携帯電話に災害や避難情報が届けられる仕組みとなっています。
コロナの第2波も心配なうえ、梅雨ですっきりしない季節ですが、もうすぐ夏がやってきます。皆で頑張っていくしかありません。
それではまた来月、お会いしましょう。
㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉泰敏