渡邉 泰敏 自己紹介へ

【神棚仕舞いと親父の背中】

2022/10/05(水) 日々のこと

建築工房わたなべの入り口、向かって左側には、「渡辺左官工業」の事務所があります。
私の父の事務所です。

建築工房わたなべと渡辺左官工業

その事務所で祀っていた神棚を仕舞うため、104日大安の日、三日市の浅間神社にお願いをして神主さんに来ていただきました。
事務所を仕舞うと、父自身が決めたからです。

神主さんが儀式の中で、今までお守りくださったことへの御礼、そしてこれからも家に幸がありますようにと神様にお唱えをしてくださっている間、様々な想いが去来してきました。

神棚仕舞い

長年左官職人として技を磨き、腕を振ってきた父。一時は住み込みの職人さんを多数抱え、その衣食住の世話を一手に引き受け忙しく立ち働き、父を支えてきた母。まさに昭和という時代、続く平成の世の中、ものづくり日本を創り上げてきた世代の両親です。

私が平成7年、若干34才でこの建築工房わたなべの事務所を新築出来たのも、父の力添えなくしてはあり得ませんでした。気づけばその時の父の年齢を、今の自分は既に追い越しています。

父は七十を過ぎてからもその技術を請われ、講師として富士職業訓練センターで後進の職人さんの育成も担ってきました。

 親父、お袋、お疲れ様おめでとう。

自分は父の屋号を継がなかったけれど、職人としての父の仕事ぶりを見てきたことが、家づくりの基本姿勢として根底に流れているし、”つくり手”としてこれからも父の背中を追い続けていくと思います。

儀式を終えて、父が「これでほっとした」と言い安堵の表情を浮かべます。神主さんから「言葉には言霊があります。締めくくりは『おめでとうございます』と口に出すことにしましょう」と提案がありました。長い間背負ってきたものをこうやって無事に下すことができたのだから、親父、本当におめでとう!そして有難う!

(株)建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉泰敏

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