今人気の「平屋」
すべての空間がワンフロアに収まり、毎日の生活において上下移動の必要がない「平屋」
バリアフリ-・生活動線の良さ・家族とのコミュニケーションのとりやすさ・・・等々
世代を問わず、平屋へのニ-ズが今とても高まっています
■「平屋」とは?
1階のみで構成された建物のことを「平屋」といいます。つまり、基本的に階段がなく、すべての部屋が同じフロアに配置されている住宅のことです。
リビングやキッチン、浴室や洗面室、主寝室や子供室などの個室が、すべてワンフロアにある住宅。「平屋」と聞くと、昔ながらの日本家屋をイメ-ジする方も多いかもしれません。でも、近頃はデザインや間取りにこだわった「平屋」の住まいが増加。
2階建てや3階建てではなく、あえて「平屋」を選択する方が増えています。そしてその人気は今とても高まっているのです。
■「平屋」が人気を集めている理由
最近、平屋は若い世代や子育て世代にも人気が高まっているようです。その理由は、
・家族との時間を大切にしたい
平屋は、家族間のコミュニケーションを円滑にするため、家族との時間を大切にしたいと思っている方にとってはとても魅力的
・高齢者との同居
階段が無いため、高齢者との同居がしやすいという点も人気の理由の一つです
・災害への備え
地震に強いという点も、災害への不安を抱える方にとっては大きなメリットです
・育児がしやすい
上階がないので、子どもが階段やバルコニ-から落下する心配がなく、また子どもをいつでも自分の目の届く範囲に置くことができるため、家事と育児を同時に行いやすくなります。
■「平屋」のメリット
1.「平屋」は生活動線がシンプルでスム-ズ
階段の上り下りがないため、平行移動だけで家事や生活ができるので、生活動線が短く移動がスム-ズに行えます。特に高齢者や小さな子供がいる家庭にとっては負担が軽減されます。
間取りを工夫する事で、生活動線の中心である家事動線(洗濯・掃除・片付けなど)が2階建ての住宅と比べると上下移動が不要となることでコンパクトにまとまり、より効率の良い生活動線を作ることができます。
2.「平屋」はバリアフリ-の家を実現できる
階段が無いため、フラットなバリアフリ-の家を実現できます。バリアフリ-にすることで高齢者や小さな子どもが一緒にいる場合、転倒や転落・つまずき等の事故を防ぎ、車いすでの移動もスム-ズになります。
3.「平屋」は生活動線が効率的
平屋は階段がないので、重たい洗濯物を持って階段を上り下りしなくて済み生活動線がとてもスム-ズ。部屋が全て1階に集まっているので掃除もしやすく、主婦にとってはありがたい作りなのが特徴です。
最近は「お掃除ロボット」を導入する家庭も多くなりました。平屋だと段差がなく、そのたびに2階に持っていく手間もなく、お掃除ロボットを効率的に使う事ができます。
4.「平屋」は光熱費を抑えやすい
平屋は2階などの上階がないことにより、熱の空間移動が少ないため、冷暖房の効きが良くなります。
暖かい空気や冷たい空気がまんべんなく行き渡るため、冷暖房を強く設定しなくてもよいので光熱費を抑えられるでしょう。また、平屋は2階建てよりも屋根が広くなる場合が多いので、広い面積の太陽光発電を設置することができ、通常よりも発電量を増やせます。それにより家庭内の電気として、あるいは売電するなどして有効利用できれば、光熱費を大きく抑えられます。
5.「平屋」は2階建てより耐震性を高くしやすい
建物の重心は、低ければ低いほど安定し地震に強いと言われています。重心が低く土地と接している面積が大きい平家は耐震性を高くしやすいといえます。揺れの影響も2階建てより少なくなり、また平屋は2階がない分、上からの荷重が少ないことや高さ方向が低い安定した形であることなどによって耐震性を高くしやすいです。
6.「平屋」は屋外に出やすいので自然を身近に感じられる
すべての空間が地面に近い平家は、屋外に出やすく窓から外の景色や緑を取り込めば、自然を身近に感じられる住まいになります。
テラスを設けてお茶や食事を楽しんだり、芝生を植えて子どもやペットが走り回れるようにすると、さらに屋外で過ごす時間を楽しめるでしょう。
地震や火災などの緊急時には、掃き出し窓から外に出られるので、いざという時に安心です。特に車椅子で生活する方にとって、日々の暮らしに安心感が持てるようになります。
7.「平屋」はデザインや設計の自由度が高い
平屋は2階建てに比べると階段や2階ホ-ルなどのスペ-スが必要ない分、リビングやその他の居室などの間取りを大きく取りやすいといえます。
L・D・Kを広くして家族との団らんを楽しむ場を充実させるのも良いかもしれません。また、平屋は2階がない分、ある程度自由に天井の高さを決めることができるので、デザインや設計の自由度が高くなります。
8.「平屋」は2階がないため小屋裏を活用できる
2階がない平屋は、屋根の下にあたる小屋裏を活用しやすくなります。勾配(角度)のある屋根をかければ、勾配天井にし開放感を演出したり、小屋裏空間をつくり収納やベッドスペ-スに活用できます。
勾配天井にして天井を高くし、開放感のある居室をつくることが可能で、さらに屋根は南側の軒を深く取って、夏の日差しが室内に入りにくく、冬の穏やかな日差しを取り込めるようにできます。
日本の昔の家は、屋根を大きくして軒を深くすることが多かったのですが、そうすることで屋根が建物や暮らしを守っていたのです。
9.「平屋」は全ての部屋がトップライトを取り付けられる対象になる
建築基準法において、トップライト(天窓)の採光面積は、窓からの採光面積の3倍に値すると認められています。それほどまでに明るい自然光を部屋に取り込めるトップライト(天窓)が、希望するどの部屋にも取り付けられるのです。
10.「平屋」はメンテナンス費用を抑えやすい
家は建築・購入した後にもメンテナンス費用がかかります。建物の美観や耐候性を保つためには、屋根や外壁の定期的な点検や修繕が必要になりますが、平屋の場合、大掛かりな足場を組まなくても外壁や屋根などの点検ができます。
キッチンや浴室などに通じる給排水管は、詰まりや老朽化などにより水が漏れることがあります。これらの空間を2階に配した場合、水漏れが発生すると1階の天井と2階の床の点検や修繕が必要となりとても大変ですが、平屋は1階のみの作業で済むのでメンテナンスもシンプルになります。
■「平屋」のデメリット
1.「平屋」は土地を多く必要とする
同じ広さの住宅を建てる場合、2階建てと比較して多くの土地が必要となります。土地には建築基準法により用途地域が決められていて、その用途地域では敷地に対してどのくらいの広さの家を建ててもいいのかという決まりがあります。
1階全てに間取りを取り入れないとならないので、土地に余裕がないと家族が増えた場合など難しい。
2.「平屋」は建設費が高くなる傾向にある
同じ延床面積の平屋と2階建てを比べた場合、平屋は屋根と基礎の面積が2階建ての倍になるため、その分の工事費はどうしても高くなってしまいます。
3.「平屋」はプライバシ-確保が難しい場合があり、防犯面での配慮も必要となる
1階のみの平屋は、どうしても道路や隣家からの視線が届きやすくなってしまい、暮らしのプライバシ-を守りにくい面があります。
間取りを作る時は、敷地周辺の人や車の往来状況をよく把握したうえで、窓位置や窓サイズ・窓の形状なども決める必要があります。
平屋だけではありませんが、1階部分の窓が多いと屋外への出入り口が増えるので、どうしても外部から侵入されやすい面があり、防犯面での配慮は必要となります。
4.「平屋」は日当たりや通風が悪くなるケ-スもある
平屋はワンフロアに全ての間取りを納める平屋は、真ん中の部屋の採光が取りにくかったり、隣りに2階・3階が建ってしまうと、途端に暗くなってしまったりすることがあります。
土地の環境によっては風が家の中まで届きにくくなりがちな場合もあります。
5.「平屋」は水害時の浸水が心配
家が浸水した場合、2階建てであれば2階部分に避難できますが、平屋だと難しくなります。
■「平屋」の建築・購入をおすすめしたい人は?
平屋をご希望される方の多くは、家庭菜園やガーデニングが趣味だったり、テラスをつくってBBQなどの食事を屋外で楽しみたいとお話しされます。
屋外は特に何もしなくても気持ち良さを感じられる場所ですし、少し過ごすだけでも気分転換になりますよね。
シンボルツリ-を植えたり、ガーデニングや家庭菜園をすると、花や紅葉を眺めたり野菜の収穫ができるようになったり、自然を通じた心豊かな暮らしを楽しめます。きっと家族との会話も弾むようになるでしょう。
庭に植栽や芝生を張ると、芝刈りや落葉掃除などのメンテナンスは大変になりますが、それが楽しめる方は、自然との暮らしを楽しみやすい「平屋」をおすすめします。
■まとめ
「平屋」は生活動線の良さや家族とのコミュニケーションの円滑さなど、多くのメリットもありますが、一方で土地を多く必要としたり、建設費が高めになるなどのデメリットもあります。
「平屋」を建てるかどうかは、ライフスタイルや価値感によって異なります。メリット・デメリットをよく比較検討して最適な住まいを選ぶことをおすすめします。
デメリットが確かにあっても、例えば、採光や通風・防犯の問題は、コの字型やロの字型にして中庭を設けたり、高窓・天窓などを利用する。
防犯面の不安は建物で囲んだ内側に庭を設け、庭や庭に面する開口部から室内が見えにくくする工夫をしたり、家の周りに踏むと音がでる砂利を敷いたり、防犯用のライトを設置するなどの工夫をする。
坪単価が高くなることも、平屋の大屋根を利用して太陽光発電システムを取り入れたりすることでデメリットを少しでも回避することができます。