2011年7月:【Foward to 1985 energy life】
皆さんこんにちは、渡邉です。いよいよ暑くなってきました。
弊社では事務所西壁面にゴ-ヤを育て緑のカ-テンに取り組んでいます。打ち合わせコ-ナ-などの照明器具もLED電球に取り替えました。また扇風機やサ-キュレ-タ-も購入しエアコンとの併用で節電に努めています。皆さんも家庭や会社で節電に取り組まれていることと思います。ただし熱中症などにならぬよう、暑い時は無理をせず、エアコンを使用してくださいね。
今月号の「ひげ日記」では、現在弊社が積極的に取り組んでいる「Foward to 1985 energy life」という運動について説明させていただきます。
この運動は産業部門のエネルギー消費量や電力消費量はそのままで、家庭部門のエネルギー消費量と電力消費量の1/2を目指し、経済を停滞させず原発に頼らない究極の省エネ社会に進んでいこうというものです。
5月号の「心ほっこり」新聞にこの資料を挟み込ませて頂いたところ、大変反響をいただきました。今月号でも記事を挟みこませていただきましたので、是非お読みください。この運動が目指す1985年の電力消費量になれば、ほぼ原子力発電に頼らない社会にできるのです。
住宅のエネルギ-消費量1/2を目指す技術としては、弊社が以前より取り組んでいる「自立循環型住宅」という考え方が最適です。この自立循環型住宅の考え方は、「いまある技術を使って、気候や敷地特性および住まい方に応じて、極力自然エネルギ-を活用した上で居住時のエネルギ-消費量を1/2にする。」というものです。
私がいろいろ試算したところ、この考え方をベースに家づくりを行えば、太陽光発電に頼ることなくエネルギ-消費量と電力消費量を1/2にできることも確認できました。私が目指すのはあくまでも、「快適で省エネな住宅」です。我慢して省エネではなく、快適で省エネな住宅です。断熱性能も低く、パッシブの考え方も取り入れられていない企画プランの住宅。
その住宅に太陽光発電を載せただけの省エネだけど快適じゃない、そんな「なんちゃってエコハウス」を皆様にお勧めしたくないのです。家庭部門のエネルギー消費量増加原因の一つは、設計に配慮することなく、簡単なエアコンなどで冷暖房を行い、力ずくで環境を整えてきたことにあると思います。高効率機器の採用よりも、まずは断熱や通風、日射遮蔽などの「パッシブデザイン」を取り入れ、空調負荷を減らす設計を行うことが何より大切なのです。
新築住宅は年間約80万戸建設されています。それに対して既存住宅は約5500万戸あります。新築でいくら省エネ住宅を建設しても全体に占める割合はしれています。既存の5500万戸で省エネが実現できないと、エネルギー消費量も電力消費量も減りません。
新築の場合はとても簡単です。選ぶ工務店さえ間違わなければ、快適で省エネな住宅は手に入るのです。でも本当に大切なのは既存住宅での省エネです。1985年と今を比較すると家庭でのエネルギ-消費量は倍以上になっているという現実があります。まずはこれを1/2にしようというのもこの運動のひとつの目標です。そのためにはまずは、自宅のエネルギ-消費量と電力消費量を確認するところから始める必要があります。
今月号の「心ほっこり」には、「自宅の省エネ度を評価する方法」も挟み込ませていただきました。私の自宅を例に計算方法の解説もしてあります。渡邉家の場合、とっても情けない結果となってしまいました。反省点と改善点も見えてきました。是非皆さんも自宅の省エネ度を評価してください。そしてそこから少しずつでも皆で、1985年のエネルギー消費量を目指しましょう。
《 目標とする1985年という年 》
今から26年前の昭和60年。日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落した年。阪神タイガ-スが27年ぶりに優勝した年。おニャン子クラブの「セ-ラ-服を脱がさないで」、小林明子の「恋におちて」などがヒットしたのもこの年です。
当時私は24歳で、富士市内の建築設計事務所に勤務していました。バブルの始まったこの年、青春真っただ中でした。当時を振り返っても私には貧しかったとか、何かを我慢して生活していた記憶などまったくありません。
㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉泰敏