2008年6月:【目指せ!10ポコ】
京都議定書から早くも十年以上経ち、そして今年からその第一約束期間も始まりました。さらに7月には洞爺湖サミットも行われます。日本のCO2削減もいよいよ本格的に動き出すようになると思います。皆さんもご存知のように、京都議定書で日本はCO2排出量を2012年までに1990年より6%削減すると公約しています。しかし実際は削減どころではなくかなり増えているのです。このままでいくと2100年には平均気温が最大推計で6.4℃、海面上昇は最大で59cm上昇するといわれています。
地球温暖化防止のためにCO2を減らさなくてはならないということは分かっていても、例えば『エアコンの冷房設定温度を1度上げればエコになる』、『レジ袋をやめてマイバッグにすればエコになる』と言われても、それで実際にどれだけの効果があるのかということは、なかなか分かりません。
そもそもCO2というのが目に見えないものだから分かりにくいということがあります。そこで数年前に登場したのが、『poco(ポコ)』という単位です。1ポコはCO2を100g削減したことを表す単位です。もともとCO2はkgやtや㎥で計られることが多いのですが、目に見えず重さも実感できないCO2を重さや体積の単位で表すので感覚的に分かりにくいのだと思います。このポコという単位は、ドライアイスを水に入れると、ポコポコッとでてくる白い煙がCO2なので、その音から『poco(ポコ)』。またスペイン語のポコ・ア・ポコ、「少しずつ」という意味から、少しずつCO2を減らしましょうという思いもこめられているそうです。ス-パ-やコンビニでもらうレジ袋は、1枚作る時に30g、そのレジ袋を燃やす時に31gのCO2を排出しますので合わせて61g。マイバッグを持ち歩きレジ袋を1枚もらわなかったとすると、それは61gのCO2を削減したことになり、0.6ポコ。冷房の温度を1℃高く設定すると1日0.9ポコ。車で1キロ移動する代わりに自転車や徒歩にすれば1人につき1.8ポコ、電車の代わりに歩いていけば1人につき0.2ポコ、となるのです。このようにCO2削減をポコで考えることで、どの程度削減できるのか、分かりやすくなるということです。
環境省は、国民1人が家庭で排出するCO2の量を1日6kgと算出しています。京都議定書の削減目標を達成するため、「1人1日CO2を1kg減らそう」と呼びかけています。つまり「1人1日10ポコ」を目標に、ということです。誰かがではなく、皆で少しずつ工夫してCO2の排出量を削減したいものです。更に、こうした生活での工夫とは別に建物本体の性能を上げてCO2排出量を減らすという方法もあります。
例えば、断熱性能を上げて次世代省エネ基準レベルとした家は2000年頃の標準的な家と比較して暖房時のエネルギ-消費量(CO2排出量)を約45%から60%削減できます。『自立循環型住宅』の考え方を取り入れて家を建てたり、リフォ-ムしたりすると最大で居住時のエネルギ-消費量を50%削減も可能になるのです。
是非、家を建てたりリフォームしたりする時には、省エネルギ-性能についても考慮していただきたいと思います。省エネな家は電気やガスの消費量も少ないので地球に優しいだけでなく、財布にも優しいということになるのですから。
最後にいくつかの『ポコ』換算の数字を書いておきます。
アルミ缶や牛乳パックを1本リサイクルすると2ポコ。ペットボトルを1本リサイクルすると1ポコ。エアコン冷房(設定温度28℃)を1時間短縮すると1日0.9ポコ。冷蔵庫の詰め込みすぎを止めると1日0.7ポコ。冷蔵庫の無駄な開閉を止めると1日0.2ポコ。冷蔵庫の設定温度を冬場は強から中にすると1日1.6ポコ。冷蔵庫を壁から適度に離すと1日0.5ポコ。トイレの暖房便座のふたを使わない時は閉めておくと1日1ポコ。アイドリングストップを5分すると1回1.1ポコ。シャワ-を1分間短縮すると0.6ポコとなります。
皆さん是非『1人1日10ポコ』、4人家族なら家族全員で1日40ポコを是非目指しましょう。全国地球温暖化防止活動推進センターのホームページには家庭でできる温暖化対策としてCO2削減効果だけでなくそれによる節約金額ものっていますので、興味のある方はご覧になって参考にしてください。