2019年3月:【太陽光発電の火災事故調査】
みなさんこんにちは、渡邉です。
花粉症の方には厳しい季節となりましたが、日中は暖かい日も増え、春はもうすぐそこまで来ています。季節の変わり目は体調を崩しやすいので、皆さんも気を付けて下さいね。
さて、消費者安全調査委員会が1月28日に消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書 住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等(以下「調査報告書」という。)を発表しました。
調査報告書によると、住宅用太陽光発電システムの累計設置棟数は平成30年10月時点で、全国に2,374,700棟となっています。今月号のひげ日記は、この調査報告書と月刊「スマートハウス」No.49の「住宅太陽光発電システムの火災事故調査」の記事を元に太陽光発電の火災事故について皆様にお伝えさせて頂きます。
■火災事故はすべて「鋼板等なし型」
調査調報告書によると、住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等に関する事故情報は平成20年3月から平成29年11月までの約9年間に、事故情報データバンクに127件登録されています。
そのうち、7件はパネルまたはケーブルからの発火等から野地板(瓦やスレート、ガルバリウム鋼板などの屋根材下地に使用される合板等のこと)への延焼にまでつながったとしています。
住宅用太陽光パネルの設置形態は「鋼板等なし型」(裏面に鋼板のないモジュールを屋根のルーフィング上に直接設置するタイプ)、「鋼板等付帯型」、「鋼板等敷設型」、「屋根置き型」の4つに分類されます。今回火災事故の発生した7件は全て、「鋼板等なし型」と呼ばれる設置形態だったということもわかりました。
月刊スマートハウスの調査によると、これら7件のうちシャープ製が6件、京セラ製が1件あることがわかったそうです。ただし、京セラ唯一の1件は、施工時のケーブルの挟み込みが原因であり、製品に起因するものでなく、施工不良であるとし、シャープの事例でも6件中1件は、同様の施工不良が原因と推定されているようです。
いずれにしましても「鋼板等なし型」で太陽光パネルを住宅の屋根に載せている方は、早急な点検をお勧めします。
■屋根延焼は0.0003%
調査報告書記載の太陽光発電設備累計設置棟数237万棟に対して、火災事故発生が127件、つまり火災事故発生率は0.005%、さらに野地板への延焼に発展した事故は同237万棟に対して7件で僅かに0.0003%です。もちろん火災事故ゼロを目指し、「鋼板等なし型」を中心に対策を講じる必要があるのは当然ですが、この火災事故をもって太陽光発電システム=火災事故というように考えるのは間違っていると思います。
■さいごに
3.11の東日本大震災から8年、原発事故の悲惨な現状はいまもずっと続いています。
自然エネルギーとして広く普及し始めている太陽光発電設備を「太陽光発電システムで火災が起きる」といった、一部報道による風評被害で、その普及のスピードを遅らせてはいけないと思います。
以前より弊社では積極的に太陽光発電設備をお客様にご提案しておりますが、今回火災事故のあった、「鋼板等なし型」は一切採用しておりません。火災に対するリスクだけでなく、長期的な雨漏り防止等の観点からも屋根材を葺いた後(屋根を完全に作った後)、その屋根の上に架台を組んで太陽光発電のモジュールを設置する「屋根置き型」のみを採用しています。
弊社で太陽光発電設備を設置した方はご安心ください。
また、今回ご紹介した太陽光発電に関する事をはじめ、住まいに関するご相談やご質問のある方はお気軽に弊社までご連絡下さい。
それでは、また来月お会いしましょう。
㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉泰敏