2024年10月:【『通電火災防止について』】

みなさんこんにちは、渡邉です。今年もすでに10月です。まだ昼間は少し暑い日もありますが、朝晩はかなり涼しくなり、過ごしやすい季節となりました。

さて、皆さんは「通電火災」という言葉をご存知ですか?
「通電火災」とは、地震などの自然災害によって停電が発生したあと電気が復旧した際に、再び電源が入った電気ストーブなどの暖房器具へカーテンや衣類などの可燃物が接触したり、倒れた家具などでコードが損傷したりなどして起こる火災のことです。

電気が原因の火災は1995年の阪神・淡路大震災では原因が特定できた建物火災の約64%。2011年の東日本大震災では54%。
202411日から6日にかけて発生し、約240棟が焼失したとされる輪島市大規模災害では「電気に起因した火災が発生した可能性」が考えられています。

今月号の「ひげ日記」はパナソニックや内閣府防災情報の資料を元に、みなさまにこうした通電火災を防ぐための情報を提供させていただきます。

◆通電火災を防ぐには◆

停電が起こるような大きな自然災害が起きた際には、避難や移動をする前にブレーカーを切っておく必要があります。
パナソニックの20236月のインターネットによる全601人の調査によると「あなたは被災した当時、地震が発生した際に、ブレーカーを落とせましたか」という設問に68.1%が「落とせなかった」と回答しています。
実際に震度5強以上を体験された方々の声をご紹介します。

・ブレーカーを切るべきと聞いたことはあったが、動転して忘れた。(51歳女性)

・朝早くの地震だったので寝起きで頭が回らなかった。家中ぐちゃぐちゃで足の踏み場もなくそれどころじゃなかった。(42歳女性)

・ブレーカーは天井近くの高い場所にあり、脚立やイスに上がって作業しなければならず、地震直後の余震もある状況でそのような危険なことをする余裕がなかった。(49歳女性)

 

感震ブレーカー◆

大きな地震の後は、気が動転する事もあります。ブレーカーを切る行動すらできない事態を想定し、強制的に電気を断つ備えが必要です。あなたの代わりに地震を感知し自動で電気を遮断するのが、「感震ブレーカー」です。「感震ブレーカー」震度5以上の地震が来たとき、感震ブレーカーが疑似漏電電流を流し、主幹漏電ブレーカーを強制遮断して電源をストップ
避難時、ブレーカーを切り忘れても安心な設計です。

内閣府、消防庁、経済産業省からも、地震による電気火災対策には「感電ブレーカーが効果的」と告知されています。

感震ブレーカーにはいろいろなタイプがあります。たとえば、分電盤に設置されたセンサーが揺れを感知し、ブレーカーを切って電気を遮断する【分電盤タイプ(内蔵型)】、分電盤に感震機能を後付けする【分電盤タイプ(後付型)】、コンセントに設置し、内臓されたセンサーが揺れを感知しコンセントから電気を遮断する【埋込型】など。

常時通電が必要で生命の維持に直結するような医療用器具等を設置している場合などはコンセントタイプの感震ブレーカーを医療用器具の電源を除いて設置するなどの検討が必要です。

また、感震ブレーカー等の作動により一時的に電源を喪失しても、家庭内の電熱器具等についての安全確認を行った後に、自らブレーカー等を復旧すれば、電力供給者側の設備に支障がない場合には復電することが可能と見込まれます。

◆さいごに◆

 弊社では皆様に、地震に強く住む人と地球にやさしい家~快適で省エネなエコハウス~を提供するという考えのもと、基礎部分も含めて全棟で詳細な構造計算をおこない、耐震等級3という防災の拠点となる警察署や消防署などと同じ耐震性能で住宅を設計しています。

しかし、地震時に建物に損傷は無くても、今回ご紹介したような通電火災で火事になってしまわないよう、一歩先を考えた地震対策として「感震ブレーカー」の設置をお勧めしていこうと思います。

この感震ブレーカーはリフォームでも対応可能ですが、「感震ブレーカー」のみを簡単に分電盤内に設置できる場合や分電盤の横等に別ボックスを設置しなくてはならない場合など色々な状況があり概算費用を提示することができません。

弊社ユーザーの皆さんには現地調査や見積は無料で行わせていただきます。感震ブレーカーの設置に補助金を支給している市町村も多いのですが、手続きの手間の割に補助額が少ない傾向です。「感震ブレーカー」が気になった方は、まずはお気軽に弊社までお問合せ下さい。それではまた来月お会いしましょう。

株式会社建築工房わたなべ  代表取締役  渡邉泰敏