2015年8月:【ZEH(ネット・ゼロ・エネルギ-・ハウス)】

みなさんこんにちは、渡邉です。

 暦の上ではもう秋なのに、とにかく毎日暑いですね。これからが疲れの出る時期です。みなさま、体調には充分気をつけてください。
さて今月号の「ひげ日記」はZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの事で「ゼッチ」と読みます)について書かせていただきます。

 本年4月号の「ひげ日記」で、住宅の改正省エネ基準は既に導入され、2020年からは住宅を新築する場合も建築確認申請時に省エネ基準への適合が義務化になるという話を書かせていただきました。

■適合義務化とは

 2020年から適合義務化になるという事は、家を新築する場合はこの基準を満たさなければ建築確認がおりないという事です。2020年になってようやく法律で規制しようとするこの断熱レベルは、ほぼ1999年基準のままです。

 今から16年も前に制定された古い断熱水準です。それでは現在はどうなっているのかというと、断熱に関する法律の縛りは無く、このレベルすら守られていない家が現在でも沢山建っています。そのため日本の住宅の断熱レベルは多くの先進国の基準と比較してもかなり劣っています。

 現在、中小工務店が建てた住宅におけるこの基準への適合率は2~3割程度との推計もあり、半数以上はこの基準の家を建てた経験すら無いとされています。義務化まで既に5年も無いのに、こんな事で本当に大丈夫なのでしょうか?

■国が目指すのは2020年にZEHが過半

 目指すのは当然、義務化のレベルより更に高断熱の住宅です。国は2014年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」において、「住宅については、2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を実現する事をめざす。」という政策目標を掲げています。

 また本年8月4日に経済産業省の総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー小委員会のとりまとめによると、住宅分野ではゼロエネルギー住宅の普及加速を柱に、建材や設備の高効率化を進めていくとしています。以下はその資料内の住宅関連部分よりの一部抜粋です。

 住宅・建築物の構造部分は、建築設備と異なり長期に渡って使用されるものであることから、業務・家庭部門におけるエネルギー消費を長期にわたって抑えるためには、壁の断熱性能といった外皮部分に対する性能が確保されることが重要である。

 また、ZEHに関しては2020年にハウスメーカー・工務店等が建設する住宅の過半がZEH基準をクリアする事を目標に施策を展開する。との記載もありました。

■まとめ

 つまり国が今後普及を考えているZEHとは住まいの断熱性能を大幅に高めた上で、高効率設備等を導入し、室内環境を快適に保った上で大幅な省エネを実現し、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入によりゼロエネルギーを達成する住宅です。

 いくら一次エネルギーの収支がゼロになるからといって、エネルギーをたくさん使って、その分たくさんの太陽光パネルを載せて、差し引きゼロエネなんて住宅は、国もZEHと認めないって事です。

 弊社では既に2020年に国が目指すZEHレベルの住まいを数多く手がけています。更に日本の住宅が最終的に目指している建設時から居住期間、そして解体・廃棄時までのエネルギー消費量をゼロにするLCCM(ライフサイクル・カーボン・マイナス)住宅の公的な認証も既に取得済です

■さいごにお知らせ

 私が以前よりみなさまにお知らせしてきた、我慢して省エネでは無く、快適で省エネなエコハウスを体感いただける見学会を開催いたします。今月の22日(土)、23日(日)の2日間、富士市今泉にて国土交通省「住宅のゼロエネルギー化推進住宅」の採択を受けた住宅です。ゼロエネ住宅に興味のある方や家づくりに関して疑問質問のある方はお気軽に来場下さい。

 皆様のいえづくりの参考になると思います。詳しくは新聞挟み込みの完成見学会のご案内をご覧下さい。

それではまた、来月お会いしましょう。

㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉泰敏