2021年5月:【地震保険について】
みなさんこんにちは、渡邉です。
気が付けばもう5月、あっという間にGWも終わってしまいました。
今月号の「ひげ日記」は居住用建物等にだけ加入が認められている地震保険についてみなさまにご案内させていただきます。地震保険契約件数は右肩上がりでアップし、2019年度の地震保険付帯率(火災保険への地震保険セット割合)は66.7%にも上っています。
ただ、地震保険をよく理解していない方も多く、被災後のダメージが深刻であるほどトラブルに発展する可能性もあります。地震保険の意義や補償内容も理解して頂きたいと思います。
■地震保険とは
地震保険制度がわが国に誕生するきっかけとなったのは、1964年の新潟地震でした。
制度創設を訴えその実現に導いたのは、新潟出身で当時大蔵大臣だった田中角栄氏でした。
そもそも地震は、発生予測が困難なだけでなく、予測を超える深刻な広域災害となりうる災害です。
故にその発生確率から保険料を算出する保険には、本来“なじまない”といわれます。
そこで地震保険は、法律(「地震保険法」)に基づき、損害保険会社と共に政府も保険金の支払責任を負う、官民一体の制度として運営され、他の保険とは異なる以下のような特徴や制限が設けられています。
補償対象は居住用建物および生活用家財に限定されます。
予測を超える巨大地震発生下でも確実に保険金が支払われるよう、契約できる保険金額には上限があり、火災保険金額の30~50%の範囲内で、建物は5,000万円まで、家財は1,000万円までとなっています。
いずれも火災保険とセットで契約します。
保険期間は最長でも5年間です。
被災後の生活再建をいち早く進められるよう、保険金を迅速に支払う独特の仕組みもあります。
建物の損害調査では、柱や屋根、壁や梁などの主要構造部の損害に着目して損害が判定され保険金が決まります。
損害区分は「全損(契約金額の100%)」「大半損(60%)」「小半損(30%)」「一部損(5%)」の4つ。
損害調査から平均数日で支払われ、受け取った保険金は使い道自由です。
保険料は都道府県および建物の構造により異なりますが、建物の耐震性能等により最大50%の保険料割引が適用されます。法律に基づき定められ、どの損保会社でも同条件なら保険料は同額です。
被害発生リスクに比例して高くなる地震保険料は、被災リスクのまさに“モノサシ”ですが、では耐震等級の高い住宅なら地震保険が不要かというと、そうとも言えません。
揺れで壊れなくても、地震火災で被害を受ける場合もあるからです。
地震火災は火災保険の適用外で、地震保険のみで補償される事は意外に知られていません。
■将来の保険金支払いに備える責任準備金
契約者が支払った地震保険料は、経費を除いた全額が責任準備金として積み立てられています。
損保会社は地震保険から利潤を得ておらず、損保会社から国に支払われた再保険料も、その全額が地震再保険特別会計として積み立てられています。1回の地震で支払われる地震保険金総額は現在
12兆円(2021年4月1日現在)です。
この金額は関東大震災級の地震が発生した場合でも、支払い保険金の総額がこの額を超えることがないように決定されており、適時見直されています。
万一この額を超えてしまった場合は支払われる保険金は削減されることもあります。
■まとめ
地震保険は単独で契約することはできません。
かならず火災保険と併せて申し込む必要があります。
東海地震が叫ばれている静岡県は全国で一番保険料が高い地域となっています。
弊社設計・施工の新築住宅は標準で省令準耐火構造を採用し、火災保険も通常の木造住宅で適用となるH構造(非耐火)ではなく、コンクリート造の建物と同じT構造(耐火)の適用となり、保険料も大幅に安くなります。
また標準で耐震等級3(最高等級)の取得なので地震保険料も50%引きとなります。
そうした高耐震で燃えにくい建物でも、私はお客さまに地震保険への加入をお勧めしています。
それは地震保険に加入していないと、地震による火災だけでなく、地震等を原因とする損壊・埋没・流失による損害や火災が地震等によって延焼・拡大したことにより生じた損害についても補償されないからです。
大切な住まいです。
なるべく安い保険料で幅広い災害に備えていただきたいと思います。
それではまた来月お会いしましょう
㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉泰敏