2023年03月：【「高断熱リフォ－ムはどこから取り組むべきか」】
「高断熱リフォ－ムはどこから取り組むべきか」
皆さまこんにちは、渡邉です。3月に入り、日に日に暖かさが増しているのを感じます。朝晩は寒い日もありますが、日中はとても暖かく、春はもうすぐという感じですね。
さて今月号の「ひげ日記」は私が購読している新建ハウジング2月10日号で、読んでいてそうそうと思わず頷いてしまった記事がありましたので、皆様にご紹介させて頂きたいと思います。その記事は住宅業界では有名な松尾和也さんの「リフォーム・リノベするなら絶対やるべき5大項目」です。以下は紙面からの引用です。
■絶対やるべき5大項目
まずは「内窓設置」この項目だけはどの工務店からもさっと出てきます。
2番目は同率で2項目あります。「屋根」および「床下」の「現場発泡断熱材吹付による断熱性・気密性の同時補強」です。
空気は暖房で暖められると軽くなって上に上がろうとします。
その際、天井、もしくは屋根の気密が取れていない住宅は、際限なく暖気が空に向かって逃げていきます。それだけでも十分ひどいのですが、さらに悪いことに、抜けた分と同量だけ床下から冷気が引き上げられてしまいます。逆に夏は、天井（屋根）の断熱が弱いがゆえに2階は暑くてたまらない状況となってしまいます。屋根と床下の断熱気密補強を行えば、この2つの大問題をかなり緩和することが可能となります。
4番目は「燃費が悪い給湯器をエコキュートに交換する」ことです。燃費の悪い給湯器の代表格は2つあります。ひとつは電気温水器、もうひとつはプロパンガスの給湯器です。この2つを見つけた場合、どんなに年数が新しかったとしても即交換すべきというのが正しい選択です。
最後、5番目は「在来浴室を見つけたらユニットバスに交換する」ことです。高齢者がリフォームに及ぶ場合、まだまだ在来浴室であることが多いです。これはヒートショックの観点でも非常に危ないです。
また、給湯器をエコキュートに交換したとしても、そもそも湯の温度の低下スピードが非常に早いため、給湯エネルギーを大量に使ってしまいます。壁や天井パネル裏に断熱材が組み合わせられているものもあります。これらを選択すると浴室全体の断熱補強にもなります。
他にもやった方がいいことはいろいろとあります。ただ、ここから先に関しては物件によってやったほうがいいが分かれる、もしくは予算が急激に上がる項目が増えてきます。ですので、現場の状況、予算とのバランスを見ながら打合せの上で決めていくようになります。
■私の意見
記事の内容はとても分かり易くほとんどが納得の内容でした。
最初の「内窓設置」に関しては住宅業界では常識となっていますし、私も何度も皆さまにご紹介している通り、いの一番に行うべき工事です。
続いての「屋根（天井）」および「床下」は、屋根裏は比較的もぐりやすく施工も問題なくできることが多いので大賛成です。問題は床下です。古い家の場合は布基礎が多く、床下に人がもぐって作業できるスペースが無い事も多いです。さらに基礎の床下換気口からの床下換気がほとんどで、床下に防湿フィルムやコンクリートの打設の無い家も多くあります。
そうした家の場合は床下がうまく換気されておらず湿気の溜まった床下が沢山あります。これらの問題を解決した上で、という条件なら床下の断熱補強は家の寿命を縮めることなく、かなり効果が期待できると思います。
4番目の「エコキュート」。原発で沢山電気を作っていた時代は深夜余った電気を安い料金で供給していました。その時代は深夜お湯を作る電気温水器や蓄熱式電気暖房などがかなり作られました。ほとんどの原発が動いていない現在は深夜電力が安くなる理由も無く、電気温水器をエコキュートにというのは理にかなっています。
ただLPGのボイラーなどを利用している場合については、一般型のガスボイラーからエコキュートに限らず潜熱回収型のガスボイラー（エコジョーズ）などに取り替えるのでも良いではないかと思います。その理由はキッチンがガスコンロでそれを取替えない場合、キッチンで使うガスの量はとても少なく、そのためだけにLPGの基本料金を支払い続けるのは少しもったいないと思うからです。
また根強い人気のあるガス衣類乾燥機の乾太くんを利用している家庭も多く、こうした場合もその使用頻度などによっては少し悩むところです。
最後の在来浴槽をユニットバスには大賛成です。在来浴室をリフォームするなら、浴槽や壁が断熱仕様のユニットバスにして、断熱風呂フタと省エネタイプの水栓を選んでいただけば更に良いと思います。リフォームを検討されている方には、ヒートショック予防のためにも快適で省エネなリフォーム提案が必須だと考えています。それでは皆さま、また来月お会いしましょう。
㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉 泰敏