2011年5月:【夏の涼しい住まい方】

今月号のひげ日記は、「夏を涼しく過ごすための住まい方」について皆様にお伝えさせていただきます。 日中外気温が上がると室温も上昇します。しかし夕方になり、外気温が下がり始めても、室温はなかなか下がりません。夜になり外が涼しくなっても室温は高いままという状況が続きます。そうした状況にならないようにするためには、日中の暑い時間帯の工夫と、太陽が沈み外気温も下がってくる夕方以降の住まい方の工夫が必要となります。

①日中は外気の熱を室内に入れない工夫をする。
 夏の室温上昇は日射熱と外気の熱が屋根・天井・外壁や窓などから入ってくることが大きな原因です。

 夏を涼しく過ごすためには、日射熱等を建物の中にできるだけ入れないようにすることが大切です。

 自分で出来る方法として、太陽の動きに合わせて直射日光の当たっている時間だけその方向のカ-テンを閉めておく。

 更に日射遮蔽は窓の外で行うとより効果的です。

 雨戸やシャッタ-のある家庭では太陽の動きにあわせてそれらも閉めておく。

 そうしたものが無い家庭では、窓の外にすだれを掛ける。(専用の取り付け金具がホ-ムセンタ-等で販売されています。)ちょっと手間は掛かりますが、ゴ-ヤなどのつる性植物で緑のカ-テンをつくる。工事は必要ですが効果的なものは、サッシの室内側にもう一組サッシを取り付ける。(エコポイントの対象です。)日射を遮るオ-ニング、シャッタ-、雨戸や外付けロールスクリ-ンなどを窓の外側に取り付ける。

 また夏は外壁面より屋根面からの熱の侵入が室温を上げる大きな問題となるので、天井裏の断熱材を増し敷きして天井面の断熱性能を向上させる。といった方法があります。

②室温より外気温が低い時間は 積極的に外気を室内に取り込む
 風上側のサッシは狭く風下側のサッシは広く開ける。暖かい空気は高いところに行くので2階の窓や天窓など少しでも高い位置の窓を開ける。部屋と部屋の間の建具を開けて家全体で風の通り道を確保する。静岡県東部は真夏でも朝方には外気温が25度程度まで下がります。外気温が下がった夜間から朝方に防犯性能が確保できる窓を利用して通気や排熱を行い建物の熱を翌日に持ち越さない工夫をする。防犯を確保しながら窓開けの出来る方法としては、窓に面格子を取り付ける。採風雨戸やブラインドシャッタ-を取り付けるなどがあります。費用はかかりますが、採風雨戸やブラインドシャッタ-は夜間通風だけでなく日射遮蔽もできるので特にお勧めです。

③冷房は効果的に使う。
 2000年8月にエネルギ-消費機器の省エネ性能を示す表示制度が導入されました。冷房にも国の定める目標値(省エネ基準)をどの程度達成しているか、エネルギー消費効率はどうかなどを表示した省エネラベルがあります。機器を新規に購入する場合は、省エネラベルを参考にしてエネルギ-効率の良い機器を購入してください。また、エアコンは部屋の大きさに合った機器を選ぶ必要があります。

 大きすぎても小さすぎても効率が悪くなりますので、ちょうど良い能力の機器を選ぶ必要があります。家の断熱性能と部屋の大きさでエアコンの能力は決める必要があります。エアコン(冷房時)の使用に際しては冷たい空気は下に行く性質を利用して、風向きは上向きで、また、扇風機やシーリングファンで室内の空気を攪拌するとより効果的です。

 フィルタ-が汚れていると消費電力が増えてしまいます。2週間に1度はフィルタ-の清掃を行いましょう。東電管内でエアコンの設定温度を1度上げるだけで64万kwの節電になると言われています。

 こうした各種の方法を組み合わせて皆で節電に努めましょう。今の季節は陽気が良く、エアコン等の使用が無いので電力需要が少なく計画停電は実施されていません。夏になり一斉にエアコンを使うようになると、冬場以上に電力が不足するのは間違いありありません。三菱総合研究所が東京電力管内の約2000世帯を対象にアンケ-トを行い家庭での今夏の消費電力予想を行いました。

 その結果を見ると、家庭での削減率は14~15時の時間帯(全体でのピーク時間帯)で前年比5%減という結果でした。これは政府の家庭での削減目標である15%減と比べてもかなり厳しい数字となっています。この数字からも住まい方の工夫などにより「電力に頼らない暑さ対策」が必要だと思います。

 今、私達に求められるのは、夏場には再び電力不足の恐れがあることを認識し、節電意識を持ち続ける事です。すだれやよしずは既にホ-ムセンタ-で販売されています。ゴ-ヤを育てて緑のカ-テンを作るのも今ならまだ間に合います。停電対策として、乾電池式や充電式の扇風機も販売されています。計画停電のない今から、来るべき夏に向けての準備を行いましょう。

 今回の内容は、私の参加する自立循環型住宅研究会監修の『夏を涼しく過ごすための住まい方ガイド』より紹介させていただきました。このガイドブックをご希望の方にお送りさせていただきます。また、工事に関する事柄もお気軽にお問い合わせ 下さい。 

㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉泰敏