2016年3月:【ZEH(ゼッチ)元年】
みなさまこんにちは、渡邉です。いよいよ3月、寒かった冬も終わり、春はもうすぐそこまで来ています。
さて、最近ハウスメーカーのホームページを見ると、どの会社も一様にトップページにZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)について掲載しています。今月号のひげ日記では今後ますますチラシやHPなどで目にする事が多くなるこのZEHについてご説明させていただきたいと思います。
国は2014年に定めたエネルギー基本計画で、2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指すと目標を定めました。この当時はまだZEHの定義もきちんと決まっておらず、それぞれの会社でZEHを独自に説明していました。そんな中、経済産業省は昨年12月に「ZEHロードマップ」を公表しZEHを定義し、ロードマップの目標を実現するための施策を取りまとめました。
ZEHとするために必要な断熱性能の基準値等は建築するエリアにより異なりますので以下の説明は弊社のある静岡県富士市(6地域)についての場合です。
まずはZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、再生可能エネルギーにより年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの住宅と定義をしています。
ざっくり言うと、使ったエネルギー以上のエネルギーを太陽光発電設備で創エネできる家という事です。しかし、太陽光発電を沢山載せて創エネすれば暖房や給湯などのエネルギーをいくら使ってもゼロ・エネルギーになるから良いという訳ではありません。
具体的には2020年に義務化される断熱基準より少し断熱性能を高める必要があります。その上で設備の高効率化を行い、省エネ基準と比較して20%以上の省エネをZEH基準として設定しています。 この基準を満たした上で、太陽光発電等の創エネルギーで正味ゼロ・エネルギーとなればZEHと認められるという事です。(100%省エネ達成。)
ただし、都心部3階建て住宅などのように屋根が小さい住宅では、太陽光発電等でエネルギーを創ることに限界があるため、正味で75%以上省エネしたものをNearly ZEH(二アリー・ゼッチ)とするとしています。
断熱性能や省エネ設備等はZEH基準を満たしているが太陽光発電の量が少し足りない住宅という事です。ZEHやNearly ZEHの判定方法は省エネ基準に従いますが、その対象設備は空調・給湯・換気・照明設備のみです。
太陽光発電は、自己消費分以外の売電分も評価に含める事ができます。
ZEHというと最先端で最高の住宅というイメージを持たれる方が多いと思いますが、決してそんなに高いハードルではありません。
①断熱性能をUA値(外皮平均熱貫流率)0.6(Q値1.9相当)以下とする。2020年 に義務化される基準はUA値0.87(Q値 2.7相当)なので少し強化すれば足りる 程度です。
②給湯器はガスならエコジョーズ(高効 率給湯器)、電気ならエコキュートとし、高効率のエアコンを設置し、照明器具は蛍光灯かLEDを選択する。
以上3点でZEH(ゼロ・エネルギー住宅)の出来上がりです。
今後ますます多くのハウスメーカーやビルダーがいかにも凄い家のようにZEHを宣伝すると思いますが、健康で快適な家にするためには①の断熱性能が一番大切です。
住宅は一度建築されると長期に渡って利用されるものです。エアコンや給湯器は古くなった時に更新すれば簡単に最新の高効率機器に置き換わり消費エネルギーは減ります。しかし、断熱材やサッシを住宅の建築後に交換することは簡単にはできないのです。一口にZEHと言ってもさまざまなZEHが存在します。
設備にウエイトを置いたメカ中心の断熱性能の低いZEHなのか、高断熱にウエイトを置いたZEHなのかを是非見極めていただきたいと思います。限られた予算のなかでどこにお金を掛けるのが良いのか?健康で快適な住まいのために大切なのはまずは断熱をはじめとする躯体の性能です。太陽光発電設備はエネルギーをつくってはくれても、快適な住環境をつくってはくれないからです。
ZEHを目指すのであれば是非高断熱型のZEHを目指していただきたいと思います。ZEHに興味のある方はお気軽に弊社にお問い合わせ下さい。
それではまた来月お会いしましょう。
㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉泰敏