2022年11月:【『断熱等級5時代の到来』】
みなさまこんにちは、渡邉です。
11月に入り、朝晩はめっきり寒くなりましたね。しかし、富士市では天気の良い日は日中とても暖かく、ワイシャツ一枚過ごせます。太陽に感謝です。今月号の「ひげ日記」は、月刊スマートハウスNo.93の記事を元に、断熱の等級新設についての話をさせて頂きます。
下記( )内に記載の数字はUA値で弊社のある静岡県富士市の戸建て住宅についての場合です。
※UA値(W/㎡・K)とは外皮平均熱貫流率のことで、住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値です。つまり、熱損失の合計を外皮面積で除した値で、値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。
■10月1日より認定基準底上げ
国土交通省では本年4月に脱炭素社会への実現に向け住宅の省エネルギー性能をより一層向上すべく、住宅性能表示制度において断熱等級5(0.6)を施行しました。そして10月1日には上位の等級6(0.46)、等級7(0.26)も新設されました。また、新築住宅では2025年に省エネ基準(等級4=0.87)への適合義務化が予定され、その先には遅くとも2030年までに省エネ基準を「ZEH基準」(等級5=0.6)に引き上げて適合義務化し、新築戸建て6割には太陽光発電を設置するという政府のロードマップがあります。
これまでZEH基準未満の「誘導基準」、「低炭素認定基準」、「長期優良住宅認定基準」を一斉にUA値0.87以下から0.6以下の等級5(ZEH基準)に底上げも行いました。ZEHや認定低炭素住宅、認定長期優良住宅などにすると補助金や金利優遇、住宅ローン減税が適用されます。
環境共創イニシアチブが2021年11月30日に発表した『ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業調査発表会2021』では、2019年度で「ZEH基準(0.6)」の実績が約25%、「省エネ基準適合(0.87)」が約60%、「平成4年基準適合(1.54)」が約15%でした。省エネやZEHなどが叫ばれているにも関わらす断熱性能的には非常に厳しい状況でした。
■まとめ
国は遅くとも2030年までに省エネ基準を「ZEH基準(0.6)」に引き上げ、適合義務化という流れです。今後新築を考えている方は最低でもこの基準の断熱性能の家を建てておかないと、新築後すぐに省エネ基準に不適合な住宅となってしまいます。国交省としても今後は等級5のZEH基準(0.6)を基盤にしていく考えのようです。
エコキュートやエアコンなどの住宅設備は古くなって取替えの時に最新のものにすれば高性能化(省エネ)は簡単です。しかし、建物の断熱性能(耐震性能も)を建てた後に改善するのには非常にコストが掛かります。まずは高断熱化(高耐震化も)に費用を割きましょう。弊社の現在標準の断熱性能はおおよそ等級6(0.46)です。等級6をお勧めするのは、建設予定地が富士市の場合でも、空調負荷が等級5(ZEH基準)では大きすぎ、そしてコスパ良く快適で省エネな住宅にするためには等級6の断熱性能が適当だと考えるからです。もちろん等級7をご希望の方には等級7でご提案させていただきます。
家の省エネ性能や快適性は今回ご紹介させて頂いた断熱性能(UA値)だけで決まるものではありませんが、断熱性能を無視しては快適な住宅にはなりません。何事もバランスが大切です。断熱性能や気密性能、高効率機器の採用などを性能と費用のバランスを考えながら検討することで、必要な性能を確保しながら初期費用とランニングコストにも配慮した住宅となります。弊社がお勧めするのは『地震に強く住む人と地球にやさしい家~快適で省エネなエコハウス~』です。
現在私のイチ押し高効率機器の“おひさまエコキュート”については今月号の挟み込み資料(※下記参照)で説明していますので、そちらの記事も是非ご一読下さい。それではまた来月お会いしましょう。
株式会社建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉 泰敏
※「おひさまエコキュ-ト」に関する挟み込み資料