2010年5月:【リフォーム瑕疵保険制度開始】
昨年、「住宅瑕疵担保履行法」という法律が施行されました。これは完成した住宅に重大な瑕疵(かし:欠陥のこと)があった場合は、その補修にかかる費用を保険金でまかなえるよう、工務店等に保険加入等を義務付けるという法律です。この法律の施行以前も「住宅品質確保促進法」という法律で、工務店等には引渡し後10年間の瑕疵担保責任は義務づけられていました。しかしその間に工務店等が倒産してしまうと、実際には施主がその補修費用を負担しなくてはならないという問題がありました。そこで「住宅瑕疵担保履行法」では、工務店等に保険加入や保証金の供託によって資金確保を義務付け、補修費用の大半をそれでまかなえるようにしたのです。この法律によって施主は万が一工務店等が倒産した場合でも、保険法人に補修費用相当の保険金を直接請求できる仕組みとしました。ただしこの法律で言う瑕疵とは、基礎や土台、柱、梁などの構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分に限られています。
そうした中、今年4月、住宅瑕疵担保責任保険法人各社から、リフォ-ム瑕疵保険の取扱いを始めると発表がありました。このリフォ-ム瑕疵保険への加入は新築用の瑕疵保険と異なり、義務ではなく任意の制度。保険の有効期間は建物の構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分は5年間、それ以外に工事をした部分が社会通念上必要とされる性能を満たさない場合は1年間となっています。この社会通念上必要とされる性能を満たさない場合というのは、ある保険法人の資料によると、例えば配管や水栓の取り付け工事部分に破損・水漏れや作動不良が生じること、建具等に著しい変形・亀裂・破損・開閉不良またはがたつきが生じること…などと記載されています。保険金の上限は1,000万円。ただしこの保険を使うためには、請負金額に応じた保険料と保険法人立会いの検査が必須で、そのための検査料が必要となります。例えば、保険法人の1社であるハウスプラス住宅保証の場合ですと、保険金額を上限1,000万円とした場合の保険料+検査料で53,200円(現在の補助金4,000円を引いた金額で)となります。またリフォ-ムで建物構造部分や防水層の撤去や新設がある場合は別途検査が必要で、更に11,550円が必要ということになります。
この金額を安いと考えるか、高いと考えるかはお客様次第となりますが、私はこの保険はお客様にとって、安全なリフォ-ム会社を選ぶ一つの選択肢になると考えています。なぜなら、こうした保険に加入するためには、保険法人に図面や契約書の提出、更には工事中に検査を受けて合格することが必要となるからです。この保険への加入は新築の場合とは違い、任意の保険制度となっていますので、あやしいリフォ-ム会社が積極的にこの保険を使うとは思えません。
今後リフォ-ムでも、「第三者検査+保険」という流れが主流になると思います。工務店にとっては、またまた新たな書類作成業務の登場ですが、私はこの保険の考え方は正しいと考えていますし、悪徳リフォ-ム会社の被害者を減らすことにもつながると思います。少なくとも大規模リフォ-をお考えの方は、「リフォ-ム瑕疵保険を付けてください」とリフォ-ム会社や工務店に言ってみてください。なんだかんだと理由を付けて、「そんな保険は必要ないです」なんて言う会社は要注意かもしれません。 もちろん、弊社ではこの保険をいち早く使えるよう、現在登録申請を行っています。
㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉泰敏