2025年02月:【レジリエンス住宅】
みなさん、こんにちは。渡邉です。2月に入りました。日中は太陽の恵みで比較的暖かく感じる日もありますが、朝晩はまだまだ冷え込む日が続いています。体調を崩さないよう、特に就寝時の寝室も暖房を活用し、無理せず暖かくお過ごしください。
■レジリエンス住宅とは
災害に備えた強靭な住宅のことを指します。平常時の安全性はもちろん、災害発生時の耐久性や災害後の回復力を備えている住宅です。
「レジリエンス」には「しぶとさ」「強靭さ」「回復力」といった意味があります。例えば、停電時でも生活を維持できる自家発電システムや、地震の際に倒壊を防ぐ強固な構造設計を備えた住宅が該当します。
政府の地震調査委員会は、南海トラフ巨大地震が今後30年以内に発生する確率を「80%程度」と発表しました。阪神・淡路大震災から30年、2016年の熊本地震、そして昨年の能登半島地震と、日本に住む以上、地震は避けられない現実です。発生時期の正確な予測は難しいですが、地震に備えることは可能です。
住宅を建てる際には、許容応力度計算を行い、耐震等級3の高い耐震性能を確保することが重要です。熊本地震では、益城町において耐震等級3の住宅が震度7の揺れに2回耐え、住み続けることができたと報告されています。これは、消防署や警察署と同等の耐震レベルです。
また、地震時には家具の固定も重要です。家具の転倒による怪我や避難の遅れを防ぐため、しっかりと固定しましょう。
地震発生後には停電や断水が発生する可能性があります。停電すると冷蔵庫や冷暖房が使えず、スマートフォンの充電もできません。夜間の電力確保には蓄電池の導入が有効です。断水時にはトイレの使用が困難になるため、浴槽の残り湯を活用する、雨水タンクを設置するなどの対策が役立ちます。飲み水の確保には、ペットボトルの備蓄やエコキュートのタンク内の水の利用が有効です。
能登半島地震では、死者504人のうち、災害関連死が274人にのぼり、地震や津波による直接的な死者数を上回りました。特に、避難所での体調悪化による死亡例が多く報告されています。寒さや断水、移動の負担が原因で、急性心筋梗塞や呼吸器疾患、循環器疾患を引き起こすケースが目立ちました。
このような状況を踏まえ、耐震性能の向上はもちろん、停電時でも室温を維持できる高断熱住宅の重要性も明らかです。また、太陽光発電設備やエコキュートの活用も推奨されます。太陽光発電があれば、停電時でも日中の電力供給が可能ですが、夜間の電力確保には蓄電池や電気自動車の活用が有効です。
導入費用はまだ高額ですが、エネルギーの自給自足を高めることで、災害時の生活をより安定させることができます。停電は地震だけでなく、台風や強風、大雨、雷などの影響でも発生するため、万全の対策が求められます。
私たちは、東海地震の発生が懸念される静岡県で工務店を営み、長年にわたり耐震性能にこだわった住宅づくりを行ってきました。「住まいづくりで最も大切なのは構造の安全性である」と訴え続け、標準仕様で耐震等級3(許容応力度計算による)を取得し、高気密・高断熱の住宅を提供しています。また、パッシブデザインを採用し、日射遮蔽や通風計画を適切に行うことで、夏も快適に過ごせるエネルギー効率の高い家づくりを目指しています。
今後は、停電にも強い住宅の実現を目指し、【災害に強い家「レジリエンス住宅」】の普及に努めてまいります。
■さいごに
間もなく新年度を迎えます。例年、住宅関連の補助事業は4月に発表され、5月頃から受付が始まり、予算に達し次第終了となります。新築やリフォームを検討されている方は、早めのご相談をおすすめします。国の補助金だけでなく、静岡県や各市町村の補助金も活用できるよう、計画的に進めましょう。
また、3月8日㊏~9日㊐に三島市清住町にて、完全予約制の完成見学会を開催いたします。実際の建物をご覧いただける貴重な機会ですので、ぜひご参加ください。詳しくはこちらをクリック
それでは、また来月お会いしましょう。
㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉 泰敏