2018年3月:【耐震等級3のススメ】
みなさまこんにちは、渡邉です。
猛威を振るっていたインフルエンザは落ち着いたようですが、今度は花粉症の季節到来です。今年の花粉飛散量は昨年よりかなり多いようなので、しっかり対策してくださいね。
さて、今月号の「ひげ日記」は建築知識ビルダーズという住宅専門誌の32号、巻頭特集「木造住宅は、なぜ耐震等級3が必要なのか。」構造設計のプロ、佐藤実(M’s構造設計)さんのとても分かりやすい記事がありましたので、その一部をご紹介させて頂きたいと思います。
(以下記事より)
耐震等級とは品確法における耐震基準であり、その「耐震等級3」とは建築基準法が定める耐震性能の1.5倍の性能を意味する。この耐震等級3、木造住宅にはハイスペックすぎると一般的に思われていたのだが、近年「木造住宅こそ耐震等級3でなくてはならない」という意見が目立つ。なぜ、耐震等級3でなくてはならないのか。その理由について考察してみたい。(略)
■熊本地震における木造住宅の被害状況
2016年4月に発生した熊本地震では、多くの木造住宅が倒壊・全半壊の被害が生じた。日本建築学会の調査報告書と一般社団法人くまもと型住宅生産連合会の「耐震等級3のススメ」を見ると、新耐震基準以降の木造住宅も‘00年5月までに建てられたもので79.6%、‘00年6月以降に建てられたもので38.6%が、何らかの被害を受けている(無被害以外)。(略)
熊本地震における木造住宅の被害状況を見てみると、震源にほど近い益城町では、耐震等級1の木造住宅には倒壊・崩壊したものが少なくなかった。現地で聞いた話では、最初の地震の時は傾きながらも倒壊・崩壊せずに耐えていたが、2度目の震度7の地震で倒壊したようである。
また、見た目には被害が無くても、内部の構造部分の損傷が激しく、耐震性能が著しく低下している木造住宅はかなり多く存在した。
やはり耐震等級1は要求性能どおり、震度7に対してすぐには倒壊・崩壊しないものの、構造部分の損傷が激しく、余震を受けると倒壊の危険性が高まるのだと言える。当然のことながら、地震後に住み続けることはかなり難しい。
一方、益城町に16棟あった耐震等級3の住宅は、2棟が半壊もしくは一部損壊、それ以外の14棟は無被害であった。半壊・一部損壊の2棟も構造の損傷はなく、補修することで住み続けることが可能だった。(略)
■地震に弱い家づくりからの脱却
(略)先日政府の地震調査委員会は、70%程度としてきた南海トラフ地震が発生する確率を、最大で80%に引き上げた。東海地方から九州までの太平洋沿岸地域で最大マグニチュード9クラスが予想されるというこの大地震に加え、過去の大地震の傾向も踏まえると、大地震が起きる可能性は日本全国どこにでもある。人命はもとより、住宅という資産を守るうえでも、「経験と勘」の家づくりからは今すぐにでも卒業し、耐震等級3の家づくりを目指してほしい。(略)(以上、記事より
■さいごに
家づくりを考えている方には、どこの会社で建てるにせよ、基礎部分を含め、「許容応力度計算による耐震等級3」の家づくりを強くお勧めします。建築基準法上は耐震等級3取得のためだけなら、もっと簡便な計算方法もあります。
しかし、構造計算をする目的は地震時に安全な家をつくることなのです。耐震等級3のために追加で必要な費用は、許容応力度計算の費用を含めても数十万円程度です。是非、その費用はおしまずに家づくりをして頂きたいと思います。
私は以前より、大切な家族と財産を守る住まいの基本性能は耐震性能だと皆様にお伝えしてきました。もちろん、建築工房わたなべで設計施工する新築住宅は、以前より許容応力度計算(詳細な構造計算)による、耐震等級3を標準としています。今回の記事の中に出てくる、くまもと型住宅生産連合会の「耐震等級3のススメ」が欲しい方はお気軽に弊社までご連絡ください。
それでは、また来月お会いしましょう。!
㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉泰敏