2012年12月:【省エネ住宅を測る“ものさし】Part2

■改正省エネ基準
  先月号のひげ日記で、国は省エネ基準を改正し2020年までに住宅を含む全ての建物に「改正省エネ基準」をベースに義務化をする方向であるとお伝えしました。

 今月号のひげ日記ではこの「改正省エネ基準」のうち住宅に関する部分についてご説明させていただきたいと思います。今回の改正の大きな点は、省エネ性能を測る“ものさし”の変更です。

 今までの省エネ基準では「断熱性能」のみを“ものさし”としていましたが、今回の改正で“暖冷房+換気+給湯+照明-太陽光発電”の「一次エネルギー消費量」を“ものさし”とするように変わります。ただしその場合も今までの「次世代省エネ基準」程度の断熱性能(ただし計算方法が変わります)を満たす必要があるという規定となります。

今後、住宅の省エネ性能は2020年の義務化に向けて“家全体での一次エネルギー消費量”で表示するようになるのです。

■一次エネルギーとは?
 それでは一次エネルギー消費量とは何でしょうか?“一次エネルギー”とは、石炭、石油、天然ガス、など自然界にあるままのエネルギーのことをいいます。

 また“二次エネルギー”とは、家庭で使っている電気、都市ガス、プロパンガス、灯油などのように使いやすく加工されたエネルギーのことを言います。“一次エネルギー消費量”の評価は、二次エネルギーを一次エネルギーに換算しておこないます。二次エネルギーごとに換算するための係数がそれぞれ決まっていて、二次エネルギー消費量にこの換算係数を掛けて一時エネルギー消費量を求めます。

■一次エネルギー消費量から見えること
  今回の改正で家全体の一次エネルギー消費量が見えるようになるのですが、それと同時に暖房・冷房・換気・照明・給湯などそれぞれのエネルギー消費量も見えるようになります。

 例えば、一般的なエアコンと高効率のエアコンを比較した場合、年間一次エネルギー消費量がどのくらい違うのかということがわかります。それがわかると、機器の価格差と光熱費の差から何年で元が取れるのか?とか、それならどちらを設置した方が良いのか?といった検討も簡単にできるのです。

■皆さんに知っていただきたいこと
 省エネ住宅が得意な工務店なら(もちろん弊社も)一次エネルギー消費量から年間のおおよその光熱費を計算することができます。家を建てると毎月のローン返済額とは別に毎月光熱費がかかります。

 省エネ住宅は一般の住宅より多少多くの費用が必要となりますが、省エネ住宅にするための月々の返済額増加分は光熱費の削減分でカバーすると考えたらいかがでしょう。今後は、電気料金をはじめ光熱費はどんどん高くなることが予想されます。

 家づくりを考える時には、新築時に掛かる本体の建築費用にばかり目がいきがちですが、毎月の光熱費などについても検討することが重要です。原発依存か脱原発かを考える前に、家庭でのエネルギー消費量を減らすことを考えたいものです。

 我慢して省エネは体にも悪く長続きしません。弊社が目指すのは「快適で省エネなエコハウス」です。悲しいことに今回のひげ日記の内容すら理解できていない工務店がとても多いのが現状です。家づくりをお考えの皆さんには一次エネルギー消費量の計算ができ、そしてそれを元にいろいろなシミュレーションや提案のできる工務店や設計者を選んでいただきたいと思います。

■最後に
 先月号のひげ日記でお知らせした、LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅の認定についてです。このたび大手ハウスメーカーを含め静岡県東部で唯一の「LCCM住宅認定」が無事取得できました。(2012年11月5日現在)

今年も残すところあとわずかです。最後まで走りぬきたいと思います。

それではまた来年お会いしましょう。皆さん、良いお年を!!!

 ※「LCCM住宅認定」取得の「サステナブルハウス裾野」はこちらからご覧いただけます。

㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉泰敏