2022年3月:【『大気汚染防止法等の改正』】

皆さんこんにちは、渡邉です。最近はだいぶ暖かくなり、朝晩の冷え込みも緩やかで、過ごしやすくなってきました。春はもうもうすぐそこという感じで嬉しいです。

ただ、テレビではロシアによるウクライナ侵攻のニュースが連日続いています。プーチン大統領は本当に怖いですね。一日も早く終わることを願っています。

さて、皆さんは石綿をご存知ですか?石綿(アスベスト)は耐火、耐熱、防音等の性能に優れた天然鉱物で、安価で加工しやすいことから、建築材料として沢山使用されてきました。吸引することにより肺がんや中皮腫等の健康被害を引き起こすため、日本では現在製造・使用が禁止されていますが、過去に使用されたものの多くは建築物等に残存しています。

昭和30年代の建材では一般的に使用され、昭和50年になって石綿上限5%の規制。平成16年に石綿を1%超えて含有する主な建材等の禁止、平成18年に石綿0.1%を超えたものの製造や新たな使用が禁止と段階的に規制されてきました。

石綿が含まれている可能性がある建材類は、工場や倉庫の外壁や屋根材として使用されたスレート、軒裏などに使用されるケイ酸カルシウム板、窯業系サイディング、ロックウール吸音板、化粧石膏ボード、ビニル床タイル等、このほかにも沢山ありました。

■大気汚染防止法、石綿障害予防規則(労働安全衛生法)改正

その石綿等に新たな規制が始まります。本年4月1日から、建築物等の解体等を行う前に実施する石綿含有建材の調査結果を都道府県等に報告するようになります。報告が必要な工事とは、

1)建築物の解体工事で解体部分の床面積80㎡以上のもの。

2)建築物の改修工事で請負金額が100万円以上(消費税込)のもの。

3)工作物の解体・改修工事で請負金額が100万円以上(消費税込)のもの。

上記以外の工事であっても、建築物の解体・改修時には事前調査の実施、調査結果の保存等が必要です。さらに2023年10月1日からはこの事前調査は建築物石綿含有建材調査者等の有資格者が行わなくてはならないこととなります。住宅業界で現在この資格をもっているものはほとんど居ないという状況で、法改正にあわせ慌てて資格取得に動いています。

現場作業員の安全上こうした対策は必要だと思いますが、石綿含有の事前調査は書類だけで無く現地での目視調査も必要となっています。製品が特定できない場合は試料を採取して石綿を含んでいるかどうかの分析も必要となります。
万一石綿を含んでいた場合は、その材料の撤去には石綿の飛散防止措置や保護具着用が必要となりますし、作業後にそれらの処分などにも費用が必要となります。

これらを伴う工事は今後かなりのコストアップは避けられない状況になると思います。

■さいごに

世の中は今、値上げラッシュです。まずは皆さんご存知のガソリンや電気料金、ウッドショックで木材や合板類、さらに今後はサッシやフェンスなどのエクステリア商品、床材や断熱材、便器、洗面化粧台、キッチン、外壁材、ユニットバスなどほとんどの商品が春から秋にかけて値上げとなります。

値上げ幅は商品にもよりますが、20%の値上げとメーカーから連絡が来ているものもあります。皆さんもネットで検索すればすぐにでてきます。本当にたくさんの商品の値上げが控えています。そんな状況ですので新築やリフォームをお考えの方は早めに動かれることをお勧めします。現在の世界情勢を考えると、近い将来再値上げの可能性すらあると思っています。

岸田総理は3月3日ウクライナ侵攻を受け、テレビで国民に更なる省エネを呼び掛けました。寒さなどを我慢しての省エネを訴えるのではなく、先送りになっている建築物省エネ法を早く国会に提出して住宅の断熱性能等を審議するのが正しい省エネへの道すじだと思います。

それではまた来月お会いしましょう。

株式会社建築工房わたなべ  代表取締役 渡辺 泰敏