2008年5月:【「超長期」と「省CO2」】
4月11日に今年の目玉となる2つのモデル事業の募集要項が国土交通省より発表されました。「超長期住宅先導的モデル事業」と住宅・建築物「省CO2推進モデル事業」です。両事業とも第一回募集の締め切りが5月12日と、発表から締め切りまで、わずか一ヶ月しかありません。今回の『ひげ日記』では、今後日本の住宅が目指すべき基準を提示した、この2つの提案募集事業について説明させていただきます。
一つ目は、「超長期住宅先導的モデル事業」、この事業の予算総額は130億円というとても大型なものです。これは200年住宅(正式名称は「長期優良住宅」)のモデルとして、その普及を進めるために、「先導的」な住宅に国が補助を行うというものです。提案応募に際しては、【住宅の基本性能の確保】+【先導的な提案】+【公開など普及への協力】という3つの要件が必要となります。ほとんどの項目は現在弊社でお客様に推奨しているレベルで十分性能はクリアしています。問題となるのは、【先導的な提案】の部分です。各方面からの情報によりますと、工務店1社で単独応募して認められるのはかなりむずかしい事だといわれています。しかし、この秋から開始が予想されている「長期優良住宅」の認定制度の準備のためにはどうしても検討しておく必要があると判断し、提案応募することとしました。
二つ目の住宅・建築物「省CO2推進モデル事業」は、京都議定書を含めた温暖化対策が急務となっていることから、省CO2化推進を目的としています。こちらの予算総額は国費で50億円。こちらは提案応募に際して、【建物が次世代省エネ基準を満たすこと】+【先導的な提案】+【公開など普及への協力】+【CASBEE(建築物総合環境評価システム)が一定レベル以上】が要件となっています。このモデル事業への応募基準も現在弊社で推奨している内容で十分クリアできます。応募には採用する提案によって得られる省CO2効果の計算も必要となりますが、このあたりはここ数年勉強を続けてきた部分なので簡単でした。やはりこちらも問題は【先導的な提案】の部分となります。CASBEE(キャスビー:建築物総合環境評価システム)とは、建築物を環境性能で格付けするツ-ル。昨年の9月に戸建て住宅向け正式版が発表され、国の施策のあらゆるところで言及されるようになってきました。環境負荷が少なくても住宅としての品質が低いものは高く評価されない仕組みになっています。住宅をS,A,B+,B-,Cの5段階で格付けします。
ちなみに、今回応募する住宅のCASBEE評価は計算の結果、最高等級のSとなりました。この両事業の応募書類を作成していて、分かったことがいくつかあります。
ひとつは、国が130億円もの予算を付けたことからもわかるように、かなり強力に200年住宅(長期優良住宅)の普及に取り組んでいく、ということです。そしてその住宅で必要とする各種性能は、弊社が現在推奨している内容とまったく同じであるということです。さらに「省CO2推進モデル事業」についても、性能表示、自立循環型住宅、CASBEEと弊社が提唱してきている住宅にとても近い内容であるということです。つまり、弊社が提唱している内容の住宅を国が目指し、そして後押しをしてくれているということです。
耐震偽装以来、住宅関連の各種政策が発表されるたびに住宅業界ではコストアップになるといっていますが、弊社では既に取り組んでいる内容ばかりです。やっと国が指標をつくり誘導に乗り出したといったところです。ひげ日記の原稿を書いている本日は5月5日です。まだ、応募書類は完成していませんが、12日の提出期限までには何とか完成させて、両事業とも応募したいと思います。
かねてから皆さんにお伝えしているように、建築工房わたなべが目指す家づくりは、『地震に強く住む人と地球に優しい家』です。今回2つの事業の募集要項をみて、私たちが目指してきた家づくりが正しかったと再確認でき、とても嬉しく誇らしい気持ちになりました。