2025年04月:【南海トラフ巨大地震“新被害想定”公表】
「南海トラフ巨大地震“新被害想定”公表」
30年以内に80%程度の確率で発生するとされる「南海トラフ巨大地震」。国の被害想定が13年ぶりに更新され政府は3月31日に新たな報告書を公表しました。静岡県から宮崎県にかけて震度7の激しい揺れや最大34メートルの大津波が起き、最悪のケースでは死者29万8000人に上るなど、被害は阪神淡路大震災や東日本大震災を上回る想定です。
今月号の「ひげ日記」はこの南海トラフ巨大地震について、時事ドットコムやNHKの記事などを元に皆様にお伝えさせていただきます。
■最大M9クラス「激しい揺れ」「大津波」
今回の想定では、揺れや津波のモデルはこれまでと同じですが、より現実に近い地形データを使ったことで浸水する範囲が前回より広がり、30センチ以上の浸水面積は全体で11万5000ヘクタール余りとおよそ30%増えました。また、地盤のデータを見直したことで揺れも一部で変わりました。死者は最悪で29万8000人にのぼり、最も多くなるのは冬の深夜に起きた場合です。内訳は津波によるものが最も多く21万5000人、建物倒壊によるものが7万3000人、地震火災によるものが9000人となっています。
今回避難生活などで体調を崩して亡くなる「災害関連死」が初めて推計され、最悪の場合5万2000人と東日本大震災の3800人のおよそ13倍に上る恐れがあり、避難者の生活改善などが急務となっています。
■ライフラインへの影響
生活に欠かせないライフラインへの被害も甚大です。揺れや浸水で発電所などが被災し、40都府県で最大2950万軒が停電。固定電話は1310万回線が不通となり、携帯電話も発生直後はほとんどつながらない見込みです。避難者は地震発生1週間後のピーク時で40都府県1230万人に上るとされています。家庭や自治体の備蓄が進んでいるものの、発生3日間で最大1990万食が足りなくなる想定です。
ライフラインの被災や企業の製造能力の低下、交通寸断などによって経済被害は292兆2000億円に上る見込み。
影響は被災地だけでなく、日本全国に及びます。被害を受けるエリアには、日本の経済を支える工業地帯や農業地域が集まっており、生活に必要な商品や食料の生産が滞って、経済活動や市民生活への打撃となることは避けられません。
■静岡県の被害想定
複数の想定の最大値ですが、以下は内閣府の想定データです。%は利用人口や戸数に占める割合です。
静岡県死者:103,000人、全壊消失:346,000戸、以下は被災直後の数字です。
断水人口:3,400,000人(97%)、下水道利用困難:2,200,000人(93%)、停電:1,600,000戸(90%)、一週間後の避難者:1,471,000人となっています。
最大津波高と( )内の時間は1mの津波の到達時間の想定です。富士市:6m(3分)、沼津市:10m(4分)、静岡市清水区11m(2分)。県内で最も大きな津波が想定されているのは下田市でなんと31mと想定されています。
■今からできる備えは
地震は突然襲ってくる災害ですが、今のうちにできる備えもあります。例えば、住宅の耐震化や通電火災を防ぐ「感震ブレーカー」の設置です。国は今回の想定で、旧耐震基準の住宅の耐震化を100%にすれば、建物倒壊の死者7万3000人を1万7000人に減らせると試算しました。電力が復旧した際に電化製品から出火し、大きな火災につながる可能性もあります。
地震時に自動で電気を遮断する「感震ブレーカー」を住民自らが取り付けることも対策の一つです。設置率を現在の8.5%から10%に引き上げると、火災の死者2万1000人が1万人に減ると国は説明しています。また、家具を固定することで被害を抑えられるほか、家庭では1週間ほどの食料や携帯トイレを備蓄しておきましょう。
■さいごに
まず自分の身は自分で守る、『自助』が最大の防災対策です。そのためには新築住宅を建てるのなら【高耐震の住宅】。リフォーム時には【耐震改修】も行う。そして【感震ブレーカー】の設置。これらは以前から私が、このひげ日記で皆さんにお伝えしてきました。
災害に備えた強靭な住宅については2025年2月号の【レジリエンス住宅】。
感震ブレーカーについては、2024年10月号のひげ日記【通電火災防止について】で詳しく説明させて頂いております。
興味のある方は弊社ホームページ内の「ひげ日記」バックナンバーをご一読ください。そして最後に1週間分の食料と携帯トイレの備蓄も忘れずに。
新築住宅の相談はもちろん耐震リフォームや感震ブレーカーの設置など、気になることがある方はお気軽に弊社までお問合せ下さい。
それでは、また来月お会いしましょう。㈱ 建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉 泰敏